2023年11月2日(日本時間11/3)、The Beatles名義では1996年以来27年ぶりの新曲が発表されました。
原曲の作詞作曲はJohn Lennon、没後23年を経て世に放たれた紛れもない新曲。1995年に頓挫したこの曲が四半世紀の時を超え発表されたことは正に奇跡としか言いようがありません。
心温まるメロディーだけでなく歌詞も実に詩的で素敵なので、ぜひシェアしたいと思い和訳を載せてみました。
この楽曲の背景や誕生秘話に自身の感想なども含め、お送りします。
◆原詩+和訳
(1,2,3,,,)
I know it’s true
It’s all because of you
And, if I make it through
It’s all because of you
わかってる
全部君のおかげさ
もし僕が上手くやり通せるなら
それはすべて、君がいるからなんだ
And, now and then
If we must start again
Well, we will know for sure
That I will love you
そして時に
もしやり直そうとするときに
思い知ることになる
これからも僕は君のことを大好きだってことを
Now and then
I miss you
Oh, now and then
I want you to be there for me
Always to return to me
たまにふと寂しくなる
そう、時々君が恋しくなるんだ
僕が進む道に君がいればいいなって
君の帰る場所がいつもここであってほしいなって
I know it’s true
It’s all because of you
And, if you go away
I know you’ll never stay
本当はわかってる
全部君のおかげさ
そして君がどこかへ行ってしまったら
きっと帰ってくることはもうないんだろうな
Now and then
I miss you
Oh, now and then
I want you to be there for me
たまにふと君が恋しくなる
ああ、時に
僕の元に君がいるといいなって思うんだよ
I know it’s true
It’s all because of you
And, if I make it through
It’s all because of you
わかってる
全部君のおかげさ
もし僕が上手くやり通せるなら
それはすべて、君がいるからなんだ
Now And Then (Official Music Video)
11/3にYouTube上でプレミア公開された、ビートルズ公式の「Now And Then」のMusic Video。
解散前の4人全員の映像、ポールとジョージとリンゴが初めてこの曲の収録に臨んだ際の1995年当時の映像、そして2022年・2023年=今現在のポールとリンゴの映像。
全てが綺麗にミックスされていて、たった4分強の映像でありながらインパクトは絶大。
公開半日で1000万再生、3日で2000万差生というのがビートルズの凄さを表してますね。
◆レビューと感想
ビートルズファンであればご存知かと思いますが、1995年のAnthologyプロジェクトにおいて”3枚のアルバムにそれぞれ新曲を追加する”というものがあり、ジョンが生前に残していたデモテープからジョンの声を抽出し、そこにポールとジョージとリンゴがそれぞれレコーディングを行い、新たにビートルズの曲を創り上げる、というものでした。
そして1の”Free As a Bird”、2の”Real Love”、という新曲がレコーディングされてアルバムに収録されたわけですが、残す1曲の「Now And Then」についてはテープの状態が悪すぎてジョンの声が使えずに頓挫し、セッションを行いながらもお蔵入りした、という経緯がありました。
そしてそこから約28年の時を経て、目覚ましく発達したAIの技術を用いることでデミックス(声や楽器等のパートを分離する技術)が可能となり、1977年にジョンが簡易レコーディングを行なったテープから綺麗に声を抽出することに成功。結果、ビートルズとして27年ぶりの新曲が、そして”最後の新曲”が発表されるに至りました。
当然ながら自分はビートルズが活動をしていた頃には生まれていなかったので、リマスター以外の純粋な”新曲”を聴くのは生まれて初めての経験でした。いろいろな意見はあれどライブでこの貴重な経験をできたことや、文字通りに”立ち会えたこと”についてはただただ感動するのみですし、世に出してくれたポールとリンゴ、そしてプロデューサーのジャイルズには感謝しかありません。
曲の方に話をうつしますが、1977年時の37歳のジョンの声と2022年時の80歳のポールの声が混じりあっている様はなんとも言えない感覚に陥ります。ドラムはいかにもリンゴのドラムっぽいですし、ジョージのギター(とポールのギター)も「ああ、これだよこれ!!」と思わされます。ああ確かにビートルズだなと。
歌詞もとても素晴らしかったので記事冒頭に和訳を載せてみましたが、喧嘩別れのようなかたちになってしまったビートルズが、そのリーダーであったジョンが書いたこの歌詞が、ここまでストレートに愛を歌っているものというのが本当に胸熱です。
歌詞の中に頻出する「君」というのはオノ・ヨーコのことなのか、あるいはポールのことなのか、はたまたビートルズメンバーのことなのか、、、それは知る由もありませんが、ポールがどうしてもこの曲を世に出したかった理由はなんとなく想像できる気がしますよね。
またもう一つ紹介したいのが2023年11月、Now And Thenが世に放たれた際のラジオインタビューでのポールの発言。
「大切な誰かが亡くなったとき、連れ戻すことは決してできない。夢を見ることしかできないんだ。でもあの日のスタジオにはジョンの声があった。ボーカルブースの隣にいるようだったんだ。ジョンともう一度一緒にレコーディングしているような雰囲気だった。嬉しいことだよね。そんなことは長い間できていなかったけれど、昔のジョンと一緒にやれたんだよ。
でもこの曲は心が痛むよね。ジョンが”I miss you”と訴えているからさ。感情は人にとって本当に大切なものだって改めて思わされたよ。」
Music Videoの中のレコーディングの様子、ポールもリンゴもジョージも本当に楽しそう。それこそもう一度一緒にレコーディングをしているような感覚になっていたのではないでしょうか。
Now And Thenは聴きながらどこか寂しい気持ちになりますし、終わったあとも物悲しさが残ります。とはいえこの曲はジョン節がたっぷり詰まったピュアなラブソング。難しいですね。この寂しさはビートルズが本当に終わってしまったんだ、という主観からのものなんでしょうね。難しい。
これも同じくポールの言葉に答えがあるような気がします。
「いまだに彼ら(既に他界しているジョンとジョージ)のことを思い出す。彼らと知り合えて幸運だったと思う反面、この世にいない事実を思い出すと悲しくなる。記憶が溢れてくる。だけどもう彼らはいないんだ。心の折り合いをつけるのが難しいけれども、良い思い出がたくさんあることもまた事実。僕は今そんなことを思っているよ。(そんな状況だよ)」
↑これってポールの言葉なんですけど、私たちファンからしてもある意味では想いは同じだな、という気がするんです。
いまだにビートルズの曲を聴き続けていますし、日々思い出します。でももうビートルズはメンバーの半分がこの世にいません。でも良い思い出がたくさんあるんですよね。でもこれで本当に終わってしまうのが複雑で…でもでもでも、って書いてますが、このなんとも言えない気持ちになれたのはやはり幸せなことなんでしょうね。
Now And Thenのメロディーに乗せられてなんとなく書き始めたこの記事も、気がつけば驚くほどの長文になってしまいました。
改めて、この曲に携わったすべての人に心からの感謝を。また、11/10発売の赤盤青盤リマスターを楽しみに待つといたしましょう。
記事を読んでくださりありがとうございました(●´ω`●)
(余談ですが、”最後の新曲”のB面がデビューシングルである「Love Me Do」の2023 Remasterというのがまたニクいですよねぇ・・・)
【追記】Now And Thenが全英チャートで54年ぶりに1位を獲得!
11/10付のイギリスのシングルチャートにおいて、Now And Thenが第1位に輝いたそうです!
Beatlesのシングル1位は1969年、「The Ballad of John and Yoko」とのこと。54年ぶり、って途方も無い記録ですね…
1位獲得にともない、ビートルズメンバーもコメントを出しています。
ポール・マッカートニー
「驚いた。途方もない話で、頭が真っ白になった。最高だね!」
リンゴ・スター
「ビートは続いていくんだ!ピース&ラブ!」
ビートルズはやはりとてつもないバンドであり孤高の存在なんだな、と再認識させられる出来事でした。
(今回初めてSomethingやLet It Beですら第1位を獲得していなかったことを知って驚きました)